2023年11月14日

ひとなる通信 第117号(令和5年9月15日発行)抜粋



隔月で発行している機関誌です。抜粋して一部をご紹介します。


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金沢ヒューマン文庫を愛し守る会「ひとなる通信」第117号より
発行日:令和5年9月15日
発行:金沢ヒューマン文庫を愛し守る会
蒲郡市宮成町(蒲郡市立図書館内)
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沖縄の悲劇
「つしま丸のそうなん」の生き証人 平良啓子さんご逝去(88歳)
戦争体験語り続けた人生 閉じる


 去る8月6日(日)に蒲郡公民館で開かれた、公民館講座「親子で平和を学ぼう」は、戦争と平和を考えるとても良い機会となりました。
 本会は、大型紙芝居「つしま丸のそうなん」を演じました。
 この作品、原作は金沢嘉市先生の児童書『つしま丸のそうなん』(あすなろ書房発行)です。
 沖縄血栓をひかえた昭和19年(1944年)8月、沖縄から本土への疎開舩“つしま丸”は、子ども達を含む1,700名を乗せた船。アメリカ軍の魚雷攻撃を受けて沈没。1,500余名が犠牲になりました。

私たちは紙芝居で「つしま丸のそうなん」を伝え続けます

 この船に乗っていて、イカダで何日も漂流、奇跡的に助かったという乗客がいました。そのひとりが、小学校5年生だった平良啓子さんで、金沢先生の取材に応じて下さり、出来上がったのがこの作品。
 平良さんが、9歳にして見た生き地獄。その後は語り継ぐのが使命と、自らの体験を伝える「平和の語り部」として活躍されていましたが、去る7月29日にお亡くなりになりました。88歳でした。
 私たちは、この紙芝居を通して平良さんのご意思を受け継ぎ、“つしま丸の悲劇”を、戦争を知らない世代に伝え続ける所存です。
 ここに、心よりご冥福をお祈りします。 ―合掌―

親子で平和を学ぼう
蒲郡公民館講座開く 語り継ぐ平和 会場いっぱい一緒になって 8月6日


 本会が、昨年に引き続き取り組む「戦争体験を語り継ぐ会」は、今年は、蒲郡公民館が主催、本会が共催する講座として、「親子で平和を学ぼう」という名称のもと、去る8月6日(日)、蒲郡公民館で、会場を満席にして開かれました。
 鵜飼公民館長の挨拶の後、松永淳子さんのピアノ演奏「星に願いを」でスタートしました。
 先ずは、絵本『へいわって すてきだね』(安里有生 詩・長谷川義史 画 ブロンズ新社)を大学生の浅野羽奏さんが読みました。10年前の沖縄の全戦没者追悼式で小学校1年生だった安里が、自身が作った詩を読み、評判をよんだ作品です。皆さんの心に静かに響いていきました。

大場さんの「空襲と地震」恐怖体験を朗読!

 続いては、児童書の朗読です。『おかあさんの木』(大川悦生 作・箕田源二郎 絵・ポプラ社) 中野亘さんと山口壽々代さんが、切々と読み上げました。戦争は“大切な命”を次々に奪っていきます。命を生み育てるお母さんの悲しみが伝わってきました。
 次は、地元、蒲郡市豊岡町の大場艶子さんの戦争体験『空襲と地震の思い出』の朗読です。戦争が激しくなると学生達は、兵器工場などで働くようにと命令が出されて、勉強どころではなくなりました。軍需工場で働いていた時のこと、空襲を受けたり、三河地震にも遭遇するなどした大場さんの恐怖体験を、臨場感をもって、杉江恵子さんがよみました。
 読了後は、ピアノ演奏「パリは燃えているか」です。松永さんの演奏に、皆さんウットリ聞き入っていました。

子どもの頃戦争があった 酒井さんと三村さん 
貴重な体験を語ってくれました

 ここで、この会の聞きどころを迎えます。「子どもの頃戦争があった―思い出を語る」です。竹島町の酒井広美さんと三村美千子さんの二人が、戦争体験を語ってくれました。
 酒井さんは、大好きだった父が出征した時のことを話されました。これが最後になると聞き、呉まで母と一緒に列車に乗って行き面会。その時に父に貰った金平糖の味が忘れられないと言う。父と合ったのはこの日が最後となったと、涙ぐみます。
 三村さんは、空襲警報の中で暮らした日々が思い出されると言います。灯火管制の中で伝統の光が漏れないようにしていたこと、防空壕に逃げ込んだことなど、怖かった思い出を語ってくれました。
 最後は、本会メンバーが演じる大型紙芝居『つしま丸のそうなん』です。あの戦争で、実際にあった、多くの子ども達が犠牲になった、沖縄の悲劇を紙芝居で伝えることができました。
 回の締めくくりとなるエンディングは、参加してくれた子どもたちを交え、ピアニカなどで「ドレミの歌」を演奏。そして、参加者全員でやなせたかしの「手の平を太陽に」を歌い上げ、心あたたかな雰囲気の中、「親子で平和を学ぼう」は終了となりました。

みなさんの感想は・・・

 蒲郡公民館講座「平和を学ぼう」の参加者に、感想を聞かせていただきました。ここに、その一部を紹介します。

「とても良い企画でした(40代男性)」
「子どもと戦争について学べる機会が持てて良かった(40代男性)」
「心にしみました。考えるきっかけになり、とても良かった(40代女性)」
「平和っていいな。戦争はこわいな。と思いました。(10代女性)」
「内容、演者、聴衆ともバラエティーに富んでいて、良かった(70代男性)」
「戦争を知らない世代で、戦争の話を聞くことがなく、今日聞くことができて良かったです。特に酒井さんと三村さんのトークが良かった(70代以上女性)」
「朗読も演奏も、体験談も、どれをとっても感動しました。(60代女性)」
「子ども達が笑顔で元気に歌えるのも、今の平和があるからという事を実感した。この気持ちを風化させないようにいたいと思った(30代男性)」
「紙芝居『つしま丸のそうなん』は、戦争の悲劇を強くうったえるものでした(60代男性)」
「子どもにもわかるところもあり、とても貴重な体験になりました。(10歳未満のお子さんと一緒に来ていたお父さん)」


科学館 朗読で楽しむ科学の集い
8月27日宮沢賢治作品堪能できたか


 「インドラの網」という不思議なる宮沢賢治の作品を、科学的に鑑賞しよう…。
 去る8月27日(日)に、蒲郡市生命の海科学館で開かれた「朗読で楽しむ科学の集い」(科学館主催。本会共催)は、賢治『雨ニモ負ケズ」から始まりました。朗読は、花岡さん・中野さん。「賢治が理想とする人物像を表現した著名な詩」をうたいあげました。
 続くは、賢治の心象スケッチを詩にした『春と修羅―序』です。渡辺さん・牧野さんが朗読。賢治の内面―宗教性と宇宙的感覚―を描いた詩的世界を読みました。

四人で読んだ『インドラの網』 それは賢治の憧れの世界だった

 そして、今回の中心的テーマ『インドラの網』朗読です。
 文節ごとに三浦さん・山口さん・牧野さん・杉江さんが分担し朗読。
 賢治の憧憬する異空間を表現した作品、難解ではあるが、詩的な韻律を味わえる作品でした。
 聞いてくれた方に感想を伺うと、「今回の“インドラ”とは何なのか。朝、明けてゆく夜空の様子が宝石などで表されて美しい形状にみえるようになることかな・・・」という言葉がかえってきました。

佐野周二さんの心地よいフルート演奏
賢治作曲の「星めぐりの歌」も


 宮沢賢治の作品を朗読するこの日、フルート演奏で花を添えてくれたのは、佐野周二さんです。朗読に合わせ佐野さんは、宮沢賢治作曲の「星めぐりの歌」から「愛の花(朝ドラ「らんまん」)、「海の見える街(魔女の宅急便)」「ア・ホール・ニュー・ワールド(映画アラジン)」「星影のエール(朝ドラ「星影のエール」)」まで、ここと良い曲ばかりを次々と演奏してくれました。
 参加者からは「美しいフルートの調べが、朗読と響き合って素晴らしかった」という感想をいただいています。
 最後に、科学館の山中館長から「宮沢賢治の作品を読むことで、そこから“宇宙へと”“科学へと”結びついていくこと、ここに面白さがある」と締めくくられました。
 この日は、賢治の127回目の誕生日にあたる日。記念すべき日に開催できたことに感謝。


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117号からの抜粋は以上です。すべてを読みたい方は、会員としてご登録ください。会員の方には機関誌「ひとなる通信」(B5版全6ページ)をお届けしています。会についての詳細は、ホームページにてご覧ください。
posted by kanazawa_human at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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